「思いやり」の心理 2
自分が大きくなる人間関係の方法 加藤諦三 大和出版 980円 より~
・ 本物の人間に接して成長してきた人間は、贋物になかなかごまかされない。洞察力は本物と接することによって生まれる。本物の人間とは、真の自己を発見している人、自己を知り自らの素晴らしい本性によって生きているヒトデある。贋物とは、自我の不統合な人間である。意識と無意識が分裂している人である。抑圧の強い人である。情緒の未成熟な人である。 贋物は押しつけがましい。親が贋物だと子どもを自分に似せようとする。ここで、先ず子どもはゆがんでしまう。子どもは自分を喪失し、生きている意味がわからなくなる。本物の人間に接していないから、成長してもどれが贋物で、どれが本物かわからなくなる。本物の人間とは”いい人”である。自分の本性を解放してくれる人である。 本物の人間は、自分を押し付けてこない。しかし愛情をそそいでくれる。贋物は自分を押し付けてくる。しかし相手を無視する。
・ 不機嫌の引き金になるのは、自分が一体化している人間なのである。したがって、時には「こんなに不機嫌になれるのは君の前だけだよ」とか「ほかのやつにはこんな文句はいえない」とか、自分と相手の近さを協調する。そういう時はもちろん期限のよい時である。そしてそのような言葉は相手を喜ばせると彼は確信している。 というのは、不機嫌な人間は、今述べたように他人との感情関係が不安定である。そして甘えた寂しがり屋で、他人との幼児的一体感を求めている。したがって、自分が他人から「君だけだよ」という言葉を求めているのである。その言葉を他人にむかっていうのだから、その人は他人はその言葉に喜ぶに違いないと確信するのである。 しかし、不機嫌な人間から自分の分身と思われた人間はたまらない。何をやっても不機嫌の原因にされてしまう。
・ 最近よく当事者意識の欠如がいわれる。モラトリアム人間が多くなった。モラトリアム人間とは、自信をもって生きることの喜びを味わったことのない人であろう。何事においても当事者なることを避けようとする人は、自分自身を信頼できない人である。当然他人も信頼していない。 当事者として苦労している人を「あんなこと馬鹿らしいよ」というようなサラリーマンは、自分で自分を信頼できないでいる人である。自分が自分を疑っている。若い頃、このような人と多くの時間を一緒にすごすと、その人も人格的に欠陥をもってしまう。つまり自信喪失する。もし自信をもって生きたければ、当事者になるべき時には当事者になるような上役と深入りすることである。そのような人からは仕事ばかりでなく人生全体について学ぶことはたくさんある。 自分の責任において仕事をしたがる人は、情緒的に成熟した人であり、決断すべき時にも「まかせるよ」などいう人は情緒的に未成熟な人なのである。仕事に対して否定的、消極的なものの見方をする人は、やはり人生全体をゆがめて見がちである。そのような人が、いかに余暇をすごしているのかを見ればわかる。そのような人が余暇に求めているものは、現実を忘れることである。そんな人は中年になっても、一時の刺激を求めてゲームセンターに集まる敗れた若者と同じなのである。その人の「自信のあるなし」が仕事のしっぷりに表現されることを忘れてはならない。
・ 事実がわれわれの自尊心を傷つけるのではなくて、事実についての我々の解釈が我々の自尊心を傷つけるのだ。
・ 甘えが満足されず、すねたりひがんだりした屈折した感情をもっている者は、いつも他人の悪口をいって歩いている。従って周囲の人間にとっては、これほど迷惑な人間はいない。となると、周囲の人間はその甘えた人間に対してどういう態度をとりだすであろうか。基本方針としては、なるべくかかわり合いを少なくしようという態度をとるであろう。そしてかかわり合いをもつ時にはすねたりひがんだりされないように、その場だけは甘えを満足させようとする。甘えが満足されず、すねたりひがんだりされたらどんなことになるか知ったいるからである。 自分の側がやるべきことをやらず、相手に対してだけさまざまな要求をする甘えた人間というには不思議なもので、その自分の要求いかに不当なものであるかということにはまったく気づいていない。自分の甘えが通らない時、相手は冷たい人間であり、相手は人間の気持ちを理解しないエゴイストということになる。
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